2017年7月1日土曜日

スポーツ論入門 A判定

第一設題 自己の運動(スポーツ)体験を通して獲得したもの、これから、獲得しようとしているものを具体的に記述しなさい。

はじめに 
私たちは「何かの役に立つ」という原理が支配している世界に生きている。このような世界の中でスポーツは多くのことに役立つ。「健康のため」「教育のため」「金儲けのため」に役に立つのであってそれゆえに価値があるものとされてきた。しかしながらスポーツは、結果として何かの役に立つから価値があるのだろうか。たとえばバットの芯でボールをとらえた瞬間の感覚、走っている最中の人間・身体としての爽快感・充実感、そこに人間として重要なものを見出すことはできないだろうか。スポーツの意義を、結果(業績・健康)の生産に見出すことだけでなく、「スポーツ」すること自体に「価値」があると考えることによって、その新たな意味を見出すことができるのでないかと考える。下より、私自身のスポーツ体験を振り返り、それにより培われたものを述べる。

自己のスポーツ体験
中学高校時代、六年間の間バレーボール部に所属していた。初めたきっかけは、クラスで仲のいい友達が入部していたことから軽い気持ちで入部を決めた。しかし、それ以前に運動経験もなくルールさえも最初は理解せずはじめたものであったから、練習についていくのが苦痛で時には涙を流して練習していたことを覚えている。段々と学年が上がるにつれ、練習に慣れ、後輩に時々指導する側となったり試合で活躍出るほどになった。あんなにつらくいきたくなかった部活であったが、高校に進学し続けることを決意した理由は、中学時代に苦労して身に着けた技術をもう少し磨きたいと考えたからだ。今から思うとあれ以上に苦しい日々はもうこないと考えていたし、なにより自分の実力に自信があった。しかし私の考えは甘く、ほかの中学から集まったほかの部員は自分が見てきたバレーボールの世界とは全く違い実力の差があり愕然としたことを覚えている。高校でバレーボ-ルを続けようと思ったことを後悔したほどである。またあの苦しい時期を一からやり直すのか・・・と落ち込んだ。しかし、中学時代に部活に休まず出席する癖がついていたおかげで実力はさらにあがった。高校最後の試合で、引退した日に何とも言えない達成感を味わったことを今でも記憶している。今学生時代を振り返ると当時は毎日つらい、身体もしんどいと考えていたが、不思議と記憶が前向きで自分が最も輝いていたような気になる。

自己のスポーツ体験を通して獲得したもの
1.努力・克己の精神
六年間の部活動を通じて獲得し、今でも私を築く土台となっているものは努力・克己の精神だろう。厳しい練習に耐えるというのももちろんあるが、それ以前に毎日休まず部活に行くというあたりまえのことを続けたことが私にとっては当時の自分をほめてやりたい点である。これから始まる練習を想像すると腰は重いし、休みたいという気持ちを抑えまず出席するということは自分自身との戦いであった。諦めることの解放感をもうすでに知っていた自分にはここをクリアしたことが大きな自信につながった。このことは、引退し大人になっても自分という人間を形成するうえで大変役に立ち胸をはって自分の長所といえるだろう。

2.他者との調和を優先する精神
バレーボールはなんといってもチームメイトとの協力、チームプレイが重要である。自分だけが目立った活躍をしていても当然チーム自体が良いチームとは言えない。他者が今何を考えているか、チーム全体の雰囲気まで考えなければいけない。これは今社会人となり会社で働くうえで、特にスポーツをやっていてよかったと思える点である。同じ会社の人間への感謝や、思いやりもこの精神を持ち合わせないと気付けないことも多々ある。また調和とは目上の人間を敬うことも重要だ。それも上下関係の厳しい部活であったから自然に身についた。他人同士がうまくいってない雰囲気を感じた時も自分が仲介をしたり、雰囲気を一掃し全員を再びまとめ同じ目標に向かわせる努力をしたことも今社会人になってからも何度も役に立っている。

3.基礎体力
実際にスポーツをすることにより、反射神経がよくなりいろんな競技がそれなりにできるという点で、いろんなものに触れることができ、経験として人生において得をしていると考えている。また、走りこむことや基本の体力をつけるトレーニングをしていたことにより体が強くなった。学生時代から比べると多少体力は衰えたが、今でも長距離を走れることは当時のトレーニングがあったからだろう。

4.忍耐の精神
1でのべた努力の精神とすこし似ているところはあるが、ここで述べるのは感情的に動かず、一度冷静になり耐えるという意味だ。スポーツをしていて、立ち止まるポイントがいくつかあった。練習していてもおもうように上達しない、試合に勝てない、チームの和が乱れるなど。こういう時、すべてを諦めて投げ出したくなる。しかし、自分の目標を思い出し、そのために今自分は何をすべきなのか冷静に考えなければいけない。その忍耐こそ、結果につながった自信があり、スポーツ以外の場面で立ち止まったとしても過去の経験を思い出し、あの時うまくいったからここは一度耐えて考えてみよう。と我慢するというより前向きに待てるようになったともいえる。うまくいかないことのほうが圧倒的に多いと社会に出てから気付き、乗り越えるには忍耐だと実感した時は、いくつになっても忍耐というものは必要だと改めて実感した。

これから獲得したいもの
社会人として時間的な制約は増え、運動不足は気になるものの、忙しい日常の中で継続してスポーツを行うことがむずかしくなってきた。そこで仕事の後や休日を利用して活動することがポイントとなると考えた。最近では夜遅くまで営業するスポーツクラブも多く、プログラムも多彩であり、選択肢も増えている。そうした施設ではトレーナーが個別にプログラムを作成してくれたり、定期的に体力を測定・評価してくれるなどのサービスもあり、自分のスケジュールや体力にあわせて運動を行うことも可能になってきている。このようなサービスを積極的に利用し、これからもまずスポーツというものとの距離を開けすぎず、触れていきたいと考えている。日常生活において、スポーツがある生活はより自分自身を体力面でも精神面でも向上させてくれるに違いない。昔ほど、試合の結果やスコアにこだわらなくてもいいと思っている。大事なことは生涯どんなかたちでも自分のペースでスポーツと触れ合うことだ。社会人になってから、学生時代の友人と仕事場や職種、家庭環境などの変化によりどうしても疎遠になってしまった。そのことにより、仕事後や休日は外に出ることが面倒になり、何もしないままに休日が終わってしまったということがよくある。その後はきまって何もせず終わった休日を振り返り、後悔したりする。今後は是非、外に出ていろんなサービスを受けながらでも挑戦したことのないスポーツのジャンルに挑戦してみたり、新たにスポーツを通して人とのかかわりを築きあげたいと考えた。共通の趣味をもち、互いを向上させ、時には励ましあうような関係をつくれたらいい。

最後に
この学習を通じて、スポーツが技術以外に自分に与えてくれた「経験」を思い出し、その経験によって自分自身が動き、今でも学び続けていることに気付いた。つらく、身体だけがしんどいというようなイメージも少しあったが、これからは自分のペースでスポーツにふれあい、協議すること以外にも観戦したり、またそのスポーツの歴史や文化にも触れてみたいと考えた。スポーツが与えてくれた人間関係、自分の信念をこれからも忘れずに持ち続け、より自分という人間を向上させることに努めたい。

参考文献
健康・フィットネスと生涯スポーツ 改訂版

東海大学一般体育研究室 編