2017年1月17日火曜日

日本国憲法科目最終試験②

            日本国憲法 科目最終試験②

「表現の自由とその制限について述べよ。」

言論・出版その他一切の表現の自由は、あらゆる手段によって思想を発表する自由である。それは、本来話す自由、書く自由であったが、現在はあらゆる思想や意見を自由に聞く自由、読む自由としての自由も極めて重要であり、送り手の自由とともに受け手の自由も保障されていると考えてよい。その意味では、この自由は民主制の基盤となるものである。新聞・雑誌その他によるほか、現代では多様な媒体が存在しており、これらの手段(たとえば映画、演劇、音楽、レコード、ラジオ、テレビ)による表現を含む。また、自己の思想や知識の発表のみでなく、事実の報道も国民に意見を形成するための素材を提供する重要な意思を持ち、報道の自由も当然に含まれる。報道の準備作業として行われる取材の自由は、取材活動が第三者の利益や公共の利益に直接抵触する可能性が高く、それだけ報道の自由に比して制約が加えられざるを得ない。もっとも取材を行わない報道はありえないから、報道の自由の保障は取材の自由なくしては内実を伴わない。
 広告もまた表現の一つであるが、純然たる営利的広告は、むしろ経済的自由権の行使としてとらえ、合理的な目的による制限を受けると解してよいだろう。

 表現の自由は、民主制と直結するものであるだけに、その制限が許されるためには厳格な基準に合致する必要がある。もちろん名誉棄損、プライバシーの侵害、わいせつなどにあたる表現は、一般的に言って価値が低いものであり、それらに事後的に法的制裁を加えることは必ずしも違憲ではない。しかしこの場合も表現が価値を含むときには、法の適用において価値較量を行い、表現の自由を侵すことのないように注意する必要がある。
このような較量を指導するものとして

①事前の抑制は原則として許されない。
②明確性の理論
③「明白かつ現在の危険」の基準
④「より制限的でない他の選びうる手段」


が定められており、このような厳しい基準で合憲性が判定される

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