2017年1月17日火曜日

政治学入門 科目最終試験④⑤⑥

         政治学入門 科目最終試験④

集計民主主義について論じろ

民主主義は、国民の中から選挙によって選ばれた人が、国民のためを思って政治を行う形態で非常に理にかなっていてもっとも国が安定するものと思われた。しかし、選挙での得票や議会での議席数といった「数」による政治決定に疑問も少なくない。仮に厳密な調査方法を用いて行ったとしても、それを国民の「真の意思」とし、それに基づいて政治の重要決定を行うことに対して、常に疑問がつきまとっている。

同じことが議会制民主主義、政党政治に対しても問いかけられている。国会で過半数を取れば政権を掌握し、思うとおりの政治と政策を実現できる。仮に過半数を取れば政権を掌握し、思うとおりの政治と政策を実現できる。仮に過半数に届かなくても、他の政党と連立を組んで多数を占めることで可能になる。こうした政党政治の在り方に対して、そこはかとない疑問を多くの国民が抱き始めているのではないだろうか。

こうした現在の民主主義を集計民主主義と呼び疑問を呈する論者もいる。こうした「集計民主主義」とも呼ばれる「数による政治」への処方箋として、討論や討議が必要とされる「討議(熟議)民主主義」の考え方が位置づけられるとはいえないだろうか。たとえば国民投票や住民投票もそれ自体が問題なのではなく、安直にそれに頼ることが問題だ。したがってそうした直接民主主義の問題の処方箋は投票が決する以前にいかに十分な議論がなされるかというところにあるだろう。なぜなら事前の議論と討論のなかで、自らと異なる主張や意見に接することが重要であるし、またそのなかで自分や他人の主張や意見も変わる可能性があるからである。議会政治でも同じだろう。単に「数による決定」ではなく、それに至る議論が十分に行われたかどうかが重要なのだ。したがってその議論の過程で時に政党の枠を越えて賛否が変わることも否定されるべきではないだろう。

政党は市民社会に対して、政党は市民社会に対して大きく道を譲ることで、行き詰りつつある現在の政党政治と民主主義に新しい道を開くことにはならないだろうか。そしてそれはもちろん、討議民主主義とも反する方向性ではない。その意味で政党そのものの存在意義を大きくみなおすことが必要だ。



          政治学入門 科目最終試験⑤

日本の男女平等参画政策について論じなさい

平成11年に「男女が社会の対等な構成員といって自らの意志によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ共に責任を担うべき社会を目指す」といった内容の、男女共同参画社会基本法が定められた。
 つまり、労働市場への女性の参加だけではなく、男性が家事・育児・介護などに参加できることも男女共同参画なのだが、そうした理解は広がっていない。
この男女共同参画が十分に浸透しなかった理由に「男女共同参画は働く女性の支援という印象」を与えてしまったのである。
 
 同時に男性が妻に対し「子供ができてからもずっと職業を続けるほうがよい」とする割合は92年と02年の調査でほぼ倍増し、実際妻に高収入を求める男性も今や多い。リストラや賃金カットで、男性一人で家計を支え切れなくなる不安が関係していると考える。また、男性の育児参加も1%代とまだ目標達成には程遠い。むしろ近年子育て期男性の労働時間は伸びている。厚生労働省は父親に育児の参加を求めながら、それを可能とするような労働時間規制を行っていないからだ。

 これから女性の労働力抜きには今後さらに進む少子高齢化を乗り切れないとの認識が普及したため、政府はこれから女性の戦力化への方向性がさらに強まっていくと考えられる。さりとて再び性別役割分業を強化して女性の専業主婦化を促進することは少子高齢化傾向を所与するのならば現実的ではない。
 ワークシェアリングなどを通じて男性も今より短く働き家庭責任を終えるような男女共同参画を男性の働き方をも含む企業社会全体の見直しを伴うものとして定義しなおす必要がある。


          政治学入門 科目最終試験⑥

小選挙区制度について論じなさい

選挙制度にはさまざまな方法があるが、日本の衆議院選挙を例にすると、小選挙区制と比例代表制を組み合わせて行われる。小選挙区制では、一つの選挙区で一人だけ当選する。
長所としては選挙区が比較的狭いため、選挙費用も低くきめ細やかな選挙運動が可能である。大政党に有利で政権が安定すると言われる。端緒としては、死票が多くなり少数意見が反映されにくい。現在衆議院議員選挙では、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並立制が導入されている。

もう一つ大きな小選挙区制度の問題がある。それは得票率と議席率との間に乖離が生まれるという問題が指摘される。しかし、同時に限られた民意の移動で議席の大逆転が起こることも問題である。無党派数がすでに過半数を超えている日本において民意の移動が増幅されて議席移動を起こしやすい小選挙区制の特性の持つ意味はきわめて重大である。現在の無党派層の中核を構成しているのは、政治的関心が高い「積極的無党派層」である。「積極的無党派層」の投票行動は、政党支持からは独立しており、常に同じ政党に投票するとは限らない。その投票行動は、政党支持からは独立しており、常に同じ政党に投票するとは限らない。その投票行動の変動が、民意の動きに過敏に反応する小選挙区制の特性と連動した時、政治への不安定化へとつながる危険性は否定できない。このように考えると、小選挙区制と二大政党制は、政権交代の必要条件ではあるかもしれないが、安定した政権運営の十分条件では決してないのである。

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